note note

意味ある「緊急事態宣言」にするために

▶︎note記事はこちら

①国会を前倒しして、「2月上旬より早く」速やかに特措法を改正すること

 自民党と立憲民主党の国対委員長間で「2月上旬に特措法改正で合意」したらしいけれど、明後日にも緊急事態宣言が発出されると言われるなか、なぜ2月上旬なのでしょう?緊急事態宣言中にその根拠法を改正し、要件や効果を変えて、どうやって法的安定性を保つつもりなのでしょう?そうしたことを国対委員長間でどのように話しあったのでしょうか。

少なくとも国民民主党では、野党共同提案と別に国民民主党独自の法改正案も提出済ですし、議論の準備も整っています。今すぐにでも国会を開会して具体的な特措法改正の議論に入り、速やかに、法的基盤に立った危機管理体制の再構築をすべきだと考えています。

②平時と緊急時を明確に区別し、緊急時の休業全額補償と罰則をセットで改正すること

 菅総理は「より強いメッセージが必要」と話しましたが、緊急事態宣言の目的は、非宣言下と同じ対応をより強く打ち出すことではないはず。その最大の目的は、必要最小限という縛りをかけつつ、非宣言下ではできない人権制約を可能にすることで、緊急事態における感染症蔓延を抑えることにあります。

現在、まだ非宣言下なのに既に要請されている外出自粛や営業自粛は24条9項に基づくとされています。しかし、わざわざ緊急事態宣言下でのみ具体的・限定的に認められている外出自粛要請・営業自粛要請が(45条1項以下)、なぜ非宣言下の

「公私の団体又は個人に対し、・・・必要な協力の要請をすることができる」(24条9項)

という抽象的・非限定的な文言でも認められると解釈できるのか、この解釈は適切なのか、かなり疑問です。実際、新型コロナ以前には、この24条9項に基づいて、非宣言下にもかかわらず外出自粛要請や営業自粛要請が出された事例はないというのが政府の答弁でした。結局これが許されるなら、緊急事態宣言下の45条の意味ってほとんどないことになるんですよね。裏を返せば、今回の新型コロナ対応で、緊急事態宣言下と非宣言下での「できること」と「できないこと」の区別を曖昧にしてしまったがために、もはや「より強いメッセージを出すこと」以外に緊急事態宣言の意味が残っていない、というのが現状かもしれません。改めて、この区別を整理すべきです。

③民間医療機関におけるコロナ対応に向けた実効性ある要請・指示を可能にして、医療資源の再配分を加速することなど

 特措法31条では、それこそ緊急事態宣言下であろうが非宣言下であろうが、都道府県知事は医療関係者に対して、新型コロナ患者に医療対応するよう要請・指示を出せます。そして、この要請・指示は、民間の医療関係者に対しても可能だということです。いま、コロナ対応が可能な医療機関を増やして医療資源の再配分に取り組むべきという課題に直面するなか、この要請・指示の実効性を高めることは極めて重要。少なくとも、コロナ対応にあたる民間医療機関への経済的支援等を強化することで、現実的に対応可能な環境を早急に整備する必要があります。

あわせて、今日厚労省に、新型コロナ対応のためにこの要請権限がきちんと行使されているのか否か、要請に応じない場合があるのか否か、応じない場合の「正当な理由」としていかなる事情が挙げられているのか、「正当な理由」にあたらないとして指示権限まで行使された事例があるのか否か聞きましたが、判明しませんでした。厚労省には、この状況を把握して速やかに教えてもらえるようにお願いしたので、私たちもきちんと把握して解決に結び付けていきたいと思います。ここをきちんと把握して医療資源の再配分を進め、通常医療を含めた医療崩壊を防ぐことが何より重要なはずです。


ページトップへ