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「価値を守るための」憲法改正論議へ

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本日、憲政記念館で行われた「国会に憲法改正論議を求める!国民集会」において国民民主党を代表して挨拶をさせていただきました。

憲法は本来、国民を「対話と統合」に導くべきもののはず。まずは、政党や政治家が自ら、与党対野党、あるいは保守対リベラルといった二項対立から卒業し、改めて「この国のかたち(Constitution)」を議論する必要があります。

ご覧いただければ幸いです!

<ご挨拶>

こんにちは。国民民主党の山尾志桜里です。今日一緒に参加している榛葉賀津也幹事長より、憲法調査会長として挨拶するようご指示がありましたので、今日は党を代表してご挨拶させていただきます。

<国民民主党の憲法の考え方>

いま国民民主党では「シン・憲法改正草案(素案)」のとりまとめに入っています。あさってにも公表できるのではないか、そんなタイミングです。

私たち国民民主党がこのタイミングで憲法改正草案を提起する目的を2つ申し上げます。

一つは、一刻も早く、不毛な二項対立から憲法議論を国民に解放するためです。憲法は本来、国民を「対話と統合」に導くべきもののはずなのに、残念ながら今の日本社会では「対立と分断」の契機となっています。まずは政党や政治家が自ら、与党対野党、あるいは保守対リベラルといった二項対立から卒業し、改めて国民とともに「この国のかたち(Constitution)」を議論する必要がある。そのための土台づくりのつもりです。したがって、できる限り偏らない立場から論点を抽出し、選択肢を提示し、メリットやデメリットも正直に表現して、多くの方の議論の参考に資するよう最終調整をしています。そして本質的な「この国のかたち」を示すためのキーワードとして、「個人の尊厳」「地域の尊厳」そして「国家の尊厳」をあげています。「個人」という単位を最も大切にしながらも、現代社会でバラバラに浮遊する「個人」が寄る辺にできるを「地域」につなぎとめ、さらには「国家」が「個人」個々人を押しつぶすのではなくむしろ個々人を柔らかく包摂する「国家」、そうしたなにつなぎとめるためのナショナルアイデンティティの再構築が必要ではないかと考えています。

もう一つは、過去から受け継いだ基本原理、つまり「人権尊重・国民主権・平和主義」という価値を継承するために、今こそ憲法の規範力を強化し、未来へとその価値をつないでいく、その役割を果たすための議論の提起です。それこそ現行憲法制定時には、まさかAIとアルゴリズムが、個人の意思形成過程に侵入し、民主主義そのものを歪めていく、そんなリスクは予想外でした。こうしたリスクに対応できるよう、データ基本権の保障など人権カタログを充実させる必要があるのではないか。また、統治の分野では、その規律密度の低さを埋めてきた「不文律」が残念ながら守られなくなってきた。そうであれば、憲法に臨時国会の召集期限を明記したり、解散権を制約する必要もあるのではないか。そして「平和主義」。戦後、本来なら憲法改正で対応すべき事項を真摯に取り扱わず、一般国民にも国際社会にも理解しがたい政府解釈の積み重ねと変更の繰り返しにより現状を追認してきた結果、憲法9条は現実を規律し統制する力を失ってしまったのではないか。そうであれば、自衛隊を明記するだけで何も変わらないというような改正ではなく、むしろ戦力と交戦権との関係を整理し、自衛権の発動要件を国民的議論に付し、現在の国際情勢にあう形で9条の規範力を回復するための改正を検討すべきなのではないか。こんな問題意識を率直に丁寧に提起していきたいと思っています。

また、先ほど松本尚先生からコロナ禍における医療現場の逼迫と緊急事態条項についてお話し頂きました。先生、ありがとうございます。改めて、平時と異なり緊急時においては行政権の権能を強めるからこそ、どのように国会を関与させ、どれくらいの期間、どこまでの措置が可能なのか、やり過ぎたときの救済措置も含めて予め本質的なルールを定める議論の必要性を感じました。

その上で、最終的な憲法判断の砦として、憲法裁判所の議論も提起する必要があるでしょう。今日ここにおられる自民党・公明党・維新の会の皆さんとも、政党の垣根を超えて、建設的な議論に臨めたらと思っています。

<憲法審査会のあり方>

また、国会の憲法審査会ですが、明日は定例の木曜日です。再び7項目の質疑、そして自由討議が予定されています。現状公選法並びの国民投票法改正7項目は、形式的な改正であって、どの政党からも内容に異論がないものです。既に先週の質疑で議論は尽きていますし、明日また質疑があるようですが、もうこの7項目について質問すべきことがなくて困っています。ただでさえ短い憲法審査会の貴重な時間は、7項目以外のCM規制や外国人寄付規制など実質的な論点の議論にあててもらいたい。あるいは憲法本体の議論にあてていただきたい。  「来国会で何らかの結論」という結論で合意というような報道もありますが、玉虫色にもほどがあり、国民からみたら意味不明。政党のメンツより真摯な憲法議論を優先させてほしいと心から思います。明日、与党筆頭の新藤議員と野党筆頭の山花議員には、「何らかの結論とは何ですか」と聞いてみたいと思っています。新藤さん、また困らせますがよろしくお願いします。

<さいごに>

さいごに、少しだけ私自身が感じていることをお話しさせてください。

「人権尊重・国民主権・平和主義」という価値をリベラルと呼ぶかどうかは別にして、こうした価値を保守する作業というのは、現代の国際社会における権威主義の台頭を抑制する意味でも極めて重要です。日本はアジアの実力ある人権国家として、こうした価値を主張し実践すべき立場にありますし、そのためにこそ経済・防衛両面で自国の自律を高めていく必要もあるのです。香港やウイグルなどで起きている中国による人権弾圧を看過せず、発言し行動すべきだと思います。

今日この場の皆さんと私、あるいは国民民主党は、必ずしも全ての価値観について一致していないかもしれません。ただ、「国家の基本問題」について国民を信じ、国民とともに憲法議論を深めようという点ではおそらく一致していると思います。ぜひ、憲法を政局と党派性から切り離し、充実した議論をしていきましょう。

本日はこうした挨拶の機会を頂戴し、ありがとうございました。


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